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今月のテーマ Vol.013 和菓子の世界 知るほどに優雅で美味な銘菓たち

四季を教えてくれる銘菓たち和菓子を紡ぐ職人の技知るほどに奥深い和菓子のはなし

四季を教えてくれる銘菓たち Wagashi

風の温度、路傍の草木、食物の旬…。日本では生活の中で出会う、身近な季節の変化を愛でる、という文化があります。 伝統を継承する和菓子の世界でも、盆の上に乗る小さな姿のなかに、四季折々の風物をそれぞれの手法で繊細に表現しています。 季節の上生菓子の意匠から、日本が誇る美しい四季の魅力に触れてみましょう。

多幸を願う和菓子でめでたき初春の訪れを祝う 縁起の由来も楽しめる、正月ならではの意匠

新年を祝うひと時に、多幸を願う大切な人と一緒にいただくのが初春の和菓子。そのため、幸せと健康を願う気持ちが込められた、縁起のよい意匠が揃います。菊家の『追羽子』は、邪気を跳ねる(羽根る)とされる追羽子を鮮やかな色彩で表現。福島家の『千寿』は、長寿として知られる鶴が羽をつくろう姿を繊細に表現しています。また香風の『梅一輪』は、ふっくらとした小さな新芽が可愛らしい姿で春を告げ、とらやの『双葉饅』も、緑が芽吹く力強い様子で新年のよろこびを祝います。

(左上段):左から菊家の追羽子(おいはね)、初春(はつはる) (右上段):手前から福島家の寒椿(かんつばき)、千寿(せんじゅ)、江戸菊(えどぎく) (右下段):手前から香風の五葉の松(ごようのまつ)、梅一輪(うめいちりん)、福寿草(ふくじゅそう) (左下段):左から、とらやの誕生の時(たんじょうのとき)、双葉饅(ふたばまん)、のどかな朝(あした)
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古来から日本人が愛でてきた四季折々の変化を味わう お茶席で愛されてきた上生菓子は、季節に応じてその姿を変え、いただく人に四季の移ろいを告げてくれます。 長きにわたり受け継がれる伝統の形もある一方で、和菓子処それぞれが趣向を凝らした意匠の個性も楽しみどころ。 和菓子職人が腕をふるい、日本の四季を繊細に表現した上生菓子を季節とともに追いかけてみましょう。

自然のなかに垣間見える、優しさと愛を表現 香風

「細やかな意匠のなかに、自然がもたらす優しさと愛を込める」という香風の和菓子。春の菓子『沢の友』は素朴な黄身餡の上に乗った菖蒲が、貼り絵のような繊細さ。夏の『朝顔市』は、花に焦点を合わせ、背景をぼかした写実的な構図が粋。楊枝の先で葉やつるを乗せていく職人芸です。淡く優しい色彩が際立つのは、秋の『糸菊』。数色が自然に連なるぼかしの技法です。冬の『初雪』は、紅葉に見立てたそぼろ餡に、ふるいでこして白餡を粉雪のように散らしました。「限られた空間のなかで四季を表現するのは、俳句を詠むのと同じ様式美」と話す香風。眺めて味わうほどに、細部までこもった思いを感じます。

五感すべてで味わう、楽しさを伝える和菓子 菊家

「美味しいのはあたり前、見た目も含め五感で楽しめるように」という菊家の和菓子。春の菓子『早蕨』は、つぶし餡を羊羹で覆って蕨の質感を浮き立たせました。夏の鮎解禁に合わせて登場する『清流』は、寒天の川に羊羹の鮎が泳ぐ涼しげな逸品。水に光が差し込む様子も繊細に表しています。奈良の秋を味わう『斑鳩の里』は、淡雪羹の白い背景に羊羹でできた五重塔と紅葉が。紅が際立つ冬の『太神楽椿』は、切れ目から覗く内側の白餡が華やかさとめでたさを伝えます。「毎年、産地にとらわれずにその時期で一番美味しい素材を使う」と話す菊家。見た目や味わい、食感まで和菓子の世界をじっくり堪能できる上生菓子です。

職人の腕と感性を、守り伝えるのれんの技 福島家

美しさ、食べやすさ、美味しさという三位一体の和菓子を代々創る福島家。春の菓子『染井吉野』は、染井吉野発祥の地(東京都豊島区駒込)として、お花見の喜びを桜と瓢箪の練切で表しました。夏の『朝顔』は淡い花びらのなかに、羊羹の朝露がきらりと光ります。ふんわりと落葉する銀杏の葉を模した『秋便り』は、時期により緑から黄色へ菓子も紅葉する手の込みよう。秋から冬の入口まで登場する『八重もみじ』も、初冬を迎える頃には、黄色から赤へと姿を変え、見る者の目を楽しませます。「培われた歴史と職人の感性が相まって、美味しい和菓子ができる」という福島家。日本が受け継ぐ四季の美を、今も守り伝えています。

香風 (左上段)春:(上)沢の友(さわのとも)(下)初桜(はつざくら) (右上段)夏:(上)朝顔市(あさがおいち)(下)四葩(よひら) (左下段)秋:(上)山路(やまじ)(下)糸菊(いとぎく) (右下段)冬:(上)胡露柿(こちがき)(下)初雪(はつゆき)
菊家 (左上段)春:(上)早蕨(さわらび)(下)花筏(はないかだ) (右上段)夏:(上)酸漿(ほおずき)(下)清流(せいりゅう) (左下段)秋:(上)斑鳩の里(いかるがのさと)(下)籬の菊(まがきのきく) (右下段)冬:(上)太神楽椿(だいかぐらつばき)(下)寒牡丹(かんぼたん)
福島家 (左上段)春:(上)染井吉野(そめいのよしの)(下)江戸桜(えどざくら) (右上段)夏:(上)菖蒲(しょうぶ)(中)向日葵(ひまわり)(下)朝顔(あさがお) (左下段)秋:(上)栗拾い(くりひろい)(下)秋便り(あきだより) (右下段)冬:(上)八重紅葉(やえもみじ)(下)姫菊(ひめぎく)
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和菓子歳時記 日本の年中行事とも密接な関係を持つ和菓子。季節にいただく和菓子を、暦とともに追いかけてみましょう。

Saijiki

1月は年賀の和菓子にはじまり、鏡開きのお汁粉、大寒につく寒餅が定番です。2月は節分の福豆、3月の雛節句には娘の無病息災を願い、雛餅や桜餅、雛あられをいただきます。また彼岸のおはぎもこの時期。入学期である4月は紅白饅頭、5月の菖蒲節句には息子の健康を祈り、ちまきや柏餅を食べます。6月は16日が和菓子の日です。その由来は、西暦848年頃に当時疫病が蔓延したことから時の仁明天皇が年号を「嘉祥(かしょう)」に改め、6月16日に菓子類を神前に供え疫病退散を祈願した、という故事からきています。

7月の七夕には無病息災を願い七夕餅を、土用の入りには土用餅をいただきます。8月のお盆には先祖を迎える盆菓子、9月は敬老の日の養老饅頭、秋彼岸のおはぎ、十五夜にちなんだお月見団子と行事がずらり。10月は豊年満作を祝う野菜や果物の菓子、11月は七五三の千歳飴が定例です。12月はお歳暮の品として多用されます。

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