自歩人の生活 LIFE OF JIPPOJIN

間宮吉彦さん(空間デザイナー/(株)インフィクス代表)Yoshihiko Mamiya

日本人は、もっと住まい方を考えたほうがいい

商業施設から住宅、マンションなどにいたるまで、あらゆるジャンルの空間をトータルに手がけるデザイナーであり、新しいカルチャーを生み出した空間も数多く手がけてきたクリエイター、間宮吉彦さん。自らのデザインスタイルを定型化させるのではなく、時代や場所によってさまざまデザインを提供し、長く第一線で活躍。2003年には、上海事務所を設立するなど、ワールドワイドに活躍の場を広げている間宮さんに、常にクリエイティブであるための秘訣からプライベートの話まで、また、センスのいい空間づくりのヒントなども語っていただいた。

Page 1 2

感性が磨かれた70年代文化をパッケージしようと思った

もともとファッションや音楽、映画、アートなどのカルチャー、というかサブカルチャーが好きだったんです。でも、例えばファッションの仕事ならファッションという単体でしかない。それよりも、それらの文化すべてを包含できる、つまりパッケージ化できる仕事というのも面白いんじゃないだろうかと思ったんです。そう思ったことがいまの仕事をはじめるきっかけでした。
僕が大阪のアメリカ村に通いはじめた70年代の終わり頃は、あらゆる実験的な店がありました。マーケティングなどではなく、したいことをやるというフロンティア的な人が店をつくっていた。インテリアでもファッションでも音楽でも、その店の人のセンスが店をつくり、非常に個性的な文化の香りがありました。店そのものが情報を発信していた。店が面白いというか、店のオーナーの感性そのものがとてもエキサイティングで、彼らとの付き合いの中で感性はより磨かれていったと思います。

僕は、自分自身のデザインスタイルというものを持っていません。与えられた条件をもとに最適な提案をしていくのが自分の仕事だと思っているからです。デザイナーというものは、その空間のポテンシャルを引き出すのが仕事です。場、すなわちプラットフォームをつくり、そこから発展できるよう導くというのが僕の仕事だと思っています。

ネットだけでは拾えない情報にアンテナを張る

空間をデザインするという仕事である以上、経験だけではクリエイティブなものづくりはできません。よく言われることですが、常にアンテナを張る必要があります。アンテナを張るというのは、簡単にいうといろんな情報にアプローチすることでしょうか。自分に必要なものだけが自分のストックではありません。昨日まで関係なかったことが突然、今日になって自分のためになることもある。常にいろんな軸をつくり続けていかなくてはいけないと思います。ネットの時代だから、情報はネットからいくらでも拾うことができると思うのは大間違いです。ネットの情報にならない情報にこそ価値があるんです。 若いデザイナーや学生たちは、デザイン雑誌や本、インターネットなどからあらゆる情報を吸収し、いろんなことを知って

いるように見えますが、根本の部分では知らなかったりする。いまや、世界中にPCひとつでアクセスできるから、たとえばロンドンで流行っていることはすぐに伝播し、みなが知っているように思う。けれど、大切なのはムーブメントが起きた背景や、その影響で街や人がどうなっているかということ。これは街の現場でないとわからないことです。

Page 2

このページのトップへ