自歩人の生活 LIFE OF JIPPOJIN

小暮真久さん(NPO法人TABLE FOR TWO代表)

自分のスキルを使って世の中のためになりたい。そんなときに出逢った運命の活動

直訳すると「二人の食卓」を意味する「TABLE FOR TWO」。
小暮さんが創設し、代表を務めるNPO法人である。
先進国の生活習慣病と開発途上国の子どもたちの飢えという問題を
時間と空間を越えた"ひとつのテーブル"で食事を分かち合うことで
解決するという活動を行う小暮真久さんに
現在の仕事とプライベート、そして今後について伺った。

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小暮真久さん(NPO法人TABLE FOR TWO代表)

ジェフリー・サックスとの出逢いが生きる道を決めた

私はコンサルティング会社などで働いていたのですが、30歳を過ぎた頃からでしょうか、単に企業を儲けさせるなどということではなく、自分のスキルを使って世の中にとって良い仕事をしたいと思うようになっていました。そんなとき、アメリカの著名な経済学者であるジェフリー・サックス氏に訪問できる機会に恵まれました。『貧困の終焉』という著書などで知られる彼は、世界で最も重要な問題は毎年800万人以上の人々が感染症で死亡していることで、その根底には絶対的貧困の問題があるという考えをもっていました。彼の執務室に入るとそこには、世界の要人と一緒に写った彼の写真がかけられ、世界に影響力のある人物だと改めて実感しました。彼は「貧困は僕達の世代で終わらせると」熱く語ったんです。そして、TABLE FOR TWOの理念に出逢い、これが自分の生きる道だと直感的に思ったのです。私は新しいものを生み出すという作業が好きで「社会起業」というものはそれまでの日本には見られなかったということも決断した理由のひとつです。
そうして、2007年10月、TABLE FOR TWOはNPO法人として正式に始動しました。いまの、私の仕事は、日本にいる時は午前中や夜は電話会議。日中は新規に賛同を検討していただいている企業を訪問したり、すでに参加いただいている企業の社員食堂を視察しに行くということが多いです。TABLE FOR TWOは、参加企業が自社の社員食堂でカロリーを抑えたヘルシーメニューを提供し、販売価格に上乗せした1食あたり20円の寄付金をTABLE FOR TWOに納めていただくという仕組みで、その寄付金は開発途上国の小学校に渡り、給食1食分となります。つまり、肥満や生活習慣病に悩む先進国の人が、貧困による飢餓で苦しむ開発途上国の人とテーブルを囲むようにするということなんです。

小暮真久さん(NPO法人TABLE FOR TWO代表)

人にものを頼むのは悪いことではない

これまで私は、考え抜いて動くのではなく、直感を頼りに生きてきました。それを今でも大切にしています。コンサルティングの仕事をしていた時代は確かにロジカルに考えなければいけないことが多かったけど、大きな決断はいつも直感でした。それはこのTABLE FOR TWOの活動をはじめたときも同じです。そんなTABLE FOR TWOの活動で学んだことは、「人にものを頼むことは悪いことではない」ということです。頼まれた人も良い頼まれ方をすれば悪い気はしない。世の中に対して協力したいという気持ちはみんな持っている。ただ、ちゃんと相手を見て、その人にあった頼み方をすることは重要です。金太郎飴的に同じ頼み方をしていては、心は動かないということですね。
いまではいろんな企業や人とコラボレーションさせて頂いています。昨年末にはフリーアナウンサーの内田恭子さんと子ども向けの絵本を出しました。この絵本の売上の中から20円が寄付されるという仕組みです。食べることだけでなく、このように絵本などを通してこの国の将来を背負う子どもたちのエデュケーションにも取り組んでいきたいですね。そして、こういった活動によって、同志となる人と出会えるということも、私の仕事の原動力になっています。
いま、企業で約300社、レストランなどを含めると約500の団体に参加していただいて、年間約1億円ほどの寄付金を集めさせてもらっています。これからもさまざまな企業や人にお願いし、貧困地域のサポートを強化していきたいと思っています。

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