自歩人の生活 LIFE OF JIPPOJIN

是友麻希さん(料理家・「和食料理教室 Ristorante 我が家」 主宰)Maki Koretomo

自己表現を模索していると料理にたどり着いた

国内外からの客人が多いご家庭に育った是友さんは、
6歳から歌と絵画を始め、小学生時代舞台で主演を、
大学在学中には表現教育の現場に携わっていた方。
卒業後も一流企業で営業職を務めていたという
マルチな才能をもつ彼女はなぜ料理の世界に魅せられたのか。
そこには自分らしい生き方を探し続けた姿があった。

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是友麻希さん

日本の食文化を継承する、という使命。

「食」をエンタテインメントに、というのが私のライフワークだと思っています。いま現在、関わっている仕事としてはベースとなる中目黒の魚専門の和食料理教室。それに加え、料理教室を舞台とした「クッキングボーイズ」。食育の一貫として小学校1年生からの子供を対象とした魚の捌き方教室。さらに今春からは、日本の発酵文化の継承を目的とした日本発酵文化協会の発起人となり、代表講師として、発酵食品、みそ、醤油教室、さらに学術的な講座も受け持っています。

そのベースにあるのは、どうやって食を楽しむかということ。教室にしても、ただ単にレシピをお教えする場所ではなく、どうやったら料理を楽しみながら作るコツをレッスンしています。ですので生徒さんも、お若い方だけでなく、ベテランの主婦やリタイアされたおじ様が多いですね。料理教室もリズムに合わせて、歌を歌いながら魚を捌くなんてことをやっています。そうやって、楽しみながら料理の技を浸透させ、日本の伝統食文化をきっちり残すというのが私の役目だと思っています。

料理教室だけでなく、いろんな仕事をさせて頂いているので、平均的な1日の流れというのは存在しませんが、だいたい朝5時には起きて築地市場へ顔を出します。魚、野菜だけでなく場外の顔なじみの店に顔を出して約1.5時間くらい。それから、祐天寺にある日本発酵文化協会の講義。その後、中目黒に戻り料理教室の仕込みをして、料理教室で授業を行い、いつも22時くらいに自宅に戻るという流れです。

是友麻希さん

全部の夢をかき集めたらいまの仕事に

私は、幼少期からありとあらゆる経験をさせてもらってきました。歌と絵画、舞台での子役にはじまり、大学時代には自閉症の子供の表現教育、卒業後は営業職。それだけの経験を積んだのにどうして、料理を選んだのかと良く訊かれるのですが、祖母の影響だと思います。いつも着物姿のちゃきちゃきの江戸っ子で、料理が得意。祖父は経営している会社の社員をしょっちゅう連れてくるのですが、料理や酒をてきぱきと出してもてなす。その姿が好きだったんですね。だから、私も人をもてなすことが好きなんです。最近忙しくて出来ていませんが、ホームパーティだってよく開いていました。

これまでの経験にすべて共通しているのは「リズム」ではないかと最近考えています。料理も絵も歌もすべて表現。最終的にそれらをどうするか、という違いだけ。自分の知識を押し付けるだけじゃなく、どうやって楽しんでもらえるかということをいつも考えていますね。

いわゆるお嬢様学校で、厳しい校則がありましたからメインストリームから逸脱していたけど、それでもまわりの人に恵まれていたと思います。まわりに素敵な人が多かった。料理の世界で仕事をしようなんて思ったことはなくて、小学校の頃の夢はピエロ。海で遊んでばかりの大学時代も日本史学を専攻し、発酵食品の歴史や古文書を意味もよくわからず読んでいたことがいまでは役に立っている。人を楽しませること笑わせることが好きで、舞台女優もやりたかったし、教師にもなりたかった。けれど、全部の夢をかき集めたらいまの職業になったんです。いままでやりたかったものをつなぎ合わせたらいまの仕事になったというだけなんですよ。

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